5G技術についてのメモ【無線技術/コアネットワーク技術】
5G(第五世代移動通信システム)ではどんな技術が採用される予定なのか、先日某研究開発センタを訪問させていただいた折に教えていただきました。そこでお聞きした内容は全て公開情報だそうなので、ここで簡単にメモしておきたいと思います。
今後のICT社会に予期されること
IoTの普及・ユビキタス社会の推進により、全てのモノが無線でつながるようになると考えられます。また、情報端末数の増大により通信ネットワークが取り扱う情報量も大幅に増大することが考えられます。
無線アクセス技術
目標性能
今後のICT社会に予期されることを踏まえて、5Gで無線アクセス技術の目標は“大容量化(システム容量1000倍)”、“高速通信(体感100倍)”、“同時接続数の増強(現在の100倍を目指すそうです)”、“低遅延化(無線区間の遅延が現状5ms~10msなので1ms以下へ)”、”低コスト化/省電力化”なのだそうです。
技術コンセプト
比較的低い周波数(UHF)帯は飽和状態にあります。なので、今後は高周波数帯を使うことになります。しかし、高周波数になればなるほど、回折能力(障害物を回り込んで伝搬する能力)が低下して損失率が大きくなる欠点があります。
これを解決する技術が5Gには求められました。
Massive MIMO
これまでの基地局のアンテナ数は、例えばFDD(周波数分割多重)なLTEで2本、TDD(時分割多重)なLTEでも4本or8本程度であり、電波は上空から見て円状に吹かしていました。しかし、5Gでは前述の課題を克服するため、Massive MIMOという概念を導入しました。これはアンテナ数が最大128個にも及ぶ超多素子アンテナです。これにより、電波を言わばビーム状に引き延ばし、指向性を持たせ、情報端末を操作するユーザに直接電波を吹かします。このデジタルビームフォーミング(以下DBF)により損失を減らす試みが行われています。すなわち、今までは基地局を中心にセルを構成していましたが、今後はユーザを考慮した動的なセル(ダイナミック仮想セル)の構築を行うことで快適な通信環境を作り出そうとしているようです。
コアネットワーク技術
技術コンセプト
今まで全てのサービスを同一のアーキテクチャで実現していましたが、サービスごとに要求される品質などは様々です。しかし、サービスごとに通信基盤をいくつも用意するようでは膨大なコストがかかってしまいます。そこで、1つの通信基盤上で複数の要件を同時に満たす技術が求められました。
ネットワークスライス
ネットワークスライスという概念は、1つのネットワークに複数の論理的なネットワークを収容する仮想化技術により実現されるもので、論理的なネットワークをスライスと呼んでいます。仮想化を行う中継器ではスライスごとに異なるプログラムを走らせることができます。
ネットワークスライスにより、例えば低遅延のサービスを利用したいユーザがアクセスしてきた場合、低遅延のスライスにユーザを移動させることで要件を満たすことが出来ます。